アトピー性皮膚炎治療の最近

公開日:2026年9月4日/最終更新日:2026年9月4日 | 執筆・監修:スキンクリニック相模大野 院長 山岸 大樹(日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医)

結論から言うと、アトピー性皮膚炎の治療は「外用薬でしっかり治す」ことが基本で、それでも難しい場合には注射薬・内服薬という新しい選択肢が加わっています。

近年、アトピー性皮膚炎の治療は大きく進歩しました。外用薬だけでコントロールが難しかった方にも、選択肢が広がっています。この記事では、治療の基本から最新の注射薬・内服薬、保険適用の条件、スキンケアまでを、皮膚科専門医の立場から解説します。多くは保険診療です。

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹が、良くなったり悪くなったりを繰り返す皮膚の病気です。

背景には、皮膚のバリア機能が生まれつき弱いことと、アレルギーを起こしやすい体質(アトピー素因)があります。バリアが弱いと、外からの刺激やアレルゲンが入りやすく、乾燥もしやすくなります。そこに炎症が加わってかゆみが生じ、掻くことでさらにバリアが壊れる、という悪循環に陥りやすいのが特徴です。

左右対称に湿疹が出ることが多く、年齢によって出やすい場所が変わります。乳児期は顔や頭、幼児期以降は肘や膝の内側、首まわりなどに出やすくなります。

治療の基本は「3つの柱」

アトピー性皮膚炎の治療は、次の3つを組み合わせて進めます。

柱内容
①薬物療法炎症を抑える(外用薬が中心。必要に応じて注射・内服)
②スキンケア保湿でバリア機能を保つ
③悪化因子の対策汗・乾燥・刺激・アレルゲンを避ける

どれか1つだけでは不十分で、3つをバランスよく続けることが大切です。「薬を塗るだけ」「保湿だけ」ではなく、組み合わせることでコントロールしやすくなります。

アトピー性皮膚炎の治療の3つの柱、薬物療法・スキンケア・悪化因子の対策を示した図
図1:アトピー性皮膚炎の治療の3つの柱。どれか1つではなく、組み合わせて続けることが大切です

外用薬|治療の中心

炎症を抑える塗り薬が治療の中心です。いくつかの種類を、部位や症状に応じて使い分けます。

種類特徴
ステロイド外用薬炎症を抑える基本の薬。強さのランクを部位・症状で使い分ける
タクロリムス軟膏顔など皮膚の薄い部位に。ステロイドとは別の仕組み
デルゴシチニブ軟膏
(JAK阻害薬の外用)
比較的新しい外用薬。ステロイド以外の選択肢
ジファミラスト軟膏炎症を抑える新しい外用薬

ステロイドを正しく使うことが大切です

「ステロイドは怖い」という不安から、量や回数を自己判断で減らしてしまう方がいます。しかし中途半端な使い方は、炎症がくすぶり続けて長引く原因になります。症状に合った強さの薬を、必要な量・期間しっかり使い、良くなったら計画的に減らす。この使い方が、結果的にステロイドの総使用量を減らすことにつながります。使い方はアトピー性皮膚炎の診療ページでも解説しています。

外用薬で難しい場合の新しい治療

外用薬とスキンケアを続けても、中等症〜重症のアトピー性皮膚炎ではコントロールが難しいことがあります。近年、こうした方に対する新しい治療が登場し、選択肢が大きく広がりました。

注射薬(生物学的製剤)

デュピクセント(一般名:デュピルマブ)をはじめとする注射薬は、アトピーの炎症に関わる特定の物質の働きをピンポイントで抑えます。かゆみと皮膚症状の両方に効果が期待でき、外用薬で難しかった方の治療を大きく変えました。定期的な皮下注射で、自己注射が可能なものもあります。

内服薬(JAK阻害薬)

飲み薬のJAK阻害薬も、中等症〜重症の方の選択肢です。炎症の信号を内側から抑え、かゆみにも比較的早く効くことが知られています。内服中は定期的な血液検査など、安全管理が必要です。

これらの注射薬・内服薬は保険適用です。ただし、一定の重症度など使用の条件があり、費用も外用薬より高くなります。当院で導入・管理が難しい場合は、連携する医療機関へのご紹介も行います。まずは診察でご相談ください。

放置するとどうなる?

アトピー性皮膚炎を適切に治療せず放置すると、かゆみと掻き壊しの悪循環から炎症が長引き、皮膚が硬く厚くなる(苔癬化:たいせんか)ことがあります。こうなると治療にも時間がかかります。

また、掻き壊した傷から細菌が入ってとびひなどの感染を起こしたり、かゆみで眠れず日常生活の質が下がったりすることもあります。近年は、皮膚の炎症が続くことがアレルギーの悪化に関わる可能性も指摘されており、早めに炎症を抑えて良い状態を保つことが大切だと考えられています。

スキンケア|保湿が土台

  • 毎日の保湿:症状がない時期も続けることで、再燃を防ぎます
  • 入浴後は早めに:5分以内を目安に保湿剤を塗ります
  • やさしく洗う:泡で洗い、こすらない。熱すぎるお湯は避ける
  • 爪を短く:掻き壊しによるダメージを減らします

保湿は、バリア機能を補う「治療の一部」です。調子が良いときにやめてしまうと再燃しやすいため、続けることが大切です。

受診や治療を迷っている段階でも、公式LINEでご相談いただけます

「自分の症状で受診してよいのか」「まず費用の目安だけ知りたい」といったご質問は、公式LINEからお気軽にお送りください。ご予約前の確認だけでも承っています。LINEからそのままご予約いただくことも可能です。

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当院でのアトピー性皮膚炎の診療について

当院がアトピー治療で大切にしているのは、まず外用薬でしっかり治しきることです。「塗る量が足りない」「良くなるとすぐやめる」という使い方だと、いつまでも落ち着きません。当院では、良くなった後の維持のしかた(プロアクティブ療法など)までご説明します。

そのうえで、外用では難しい中等症〜重症の方には、注射薬や内服薬という選択肢をご案内します。院長は大学病院でアトピー診療の経験があり、新しい治療についてもご相談いただけます。

相模大野エリアでは、乾燥する冬や、汗をかく夏の変わり目に悪化のご相談が増える傾向があります。

診察室でよくいただくご質問

「ステロイドを一生使い続けることになりますか」というご質問をよくいただきます。目指すのは、症状を落ち着かせたうえで、薬を計画的に減らし、保湿中心で良い状態を保つことです。良くなったら塗る回数を減らしていく方法(プロアクティブ療法)もあります。ずっと同じ量を塗り続けるわけではありません。上手にコントロールできれば、薬の量は減らせます。

よくあるご質問

Q1. アトピーは治りますか

肌が乾燥しやすい、という体質が背景にあるため「完全に体質を変える」ことは難しいですが、適切な治療で症状をほとんど気にならない状態に保つこと(寛解)は十分に可能です。近年は治療の選択肢が増え、コントロールしやすくなっています。

Q2. ステロイドの副作用が心配です

正しい強さの薬を必要な期間使う分には、過度に心配する必要はありません。長期に不適切な使い方をすると皮膚が薄くなるなどの局所的な副作用が出ることがありますが、医師の指導のもとで使えば管理できます。不安な点は遠慮なくご相談ください。

Q3. 注射薬や内服薬はどんな人が対象ですか

外用薬とスキンケアを適切に行ってもコントロールが難しい、中等症〜重症の方が主な対象です。使用には条件があり、費用や通院、安全管理の面も含めて、診察で適応を判断します。

Q4. 子どももアトピーです。同じように治療できますか

お子さんのアトピーも保険診療で対応できます。年齢に応じた外用薬の選択やスキンケアの指導を行います。乳児の湿疹については乳児湿疹の記事もご覧ください。

アトピー性皮膚炎でお悩みの方は、一度ご相談ください。
外用薬でしっかり治すことを基本に、必要に応じて新しい治療もご提案します。

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監修:山岸 大樹(やまぎし ひろき)

スキンクリニック相模大野 院長

香川大学医学部卒。東京慈恵会医科大学附属病院皮膚科に長年勤務し、地域クリニックでも診療経験を積む。2024年8月、相模大野にて開院。一般皮膚科から美容皮膚科まで幅広く診療にあたる。

日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

参考文献・引用元

  • 日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」
  • 各医薬品の添付文書(デュピルマブ、JAK阻害薬)
  • 厚生労働省「医療広告ガイドライン」

※本記事は情報提供を目的としたものであり、診断・治療を確約するものではありません。治療の効果には個人差があります。記載の費用は2026年9月時点のもので、保険点数の改定等により変動する場合があります。自由診療の料金はすべて税込表示です。医療広告ガイドラインに基づき作成しています。