粉瘤の手術

公開日:2026年9月4日/最終更新日:2026年9月4日 | 執筆・監修:スキンクリニック相模大野 院長 山岸 大樹(日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医)

結論から言うと、粉瘤(ふんりゅう)は自然には治らず、根本的に治すには袋ごと取り除く手術が必要です。炎症を起こす前の落ち着いた時期の手術がおすすめです。

「皮膚の下に、しこりのようなものがある」「潰すと臭いものが出る」。それは粉瘤かもしれません。この記事では、粉瘤の正体、放置するとどうなるか、日帰り手術の方法、保険適用の費用の目安までを、皮膚科専門医の立場から解説します。粉瘤の手術は保険適用です。

粉瘤(アテローム)とは

粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に古い角質や皮脂がたまってできる良性のできものです。アテローム、表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)とも呼ばれます。

皮膚の表面(表皮)が、何らかのきっかけで皮膚の内側に入り込み、袋を作ってしまうことで生じると考えられています。この袋の中に、本来は垢として剥がれ落ちるはずの角質がたまり続け、だんだん大きくなります。中央に黒い点(へそのような開口部)が見えることがあり、押すと臭いのある内容物が出ることがあります。

体のどこにでもでき、顔、首、背中、耳のうしろなどによく見られます。多くは痛みのない、皮膚の下で動くしこりとして気づかれます。

ニキビや他のできものとの違い

粉瘤ニキビ脂肪腫
中身角質・皮脂(袋がある)皮脂・角質(毛穴)脂肪
大きさ数mm〜数cm。徐々に大きく小さい大きくなることも
自然治癒しない(袋が残る)することが多いしない
治療袋ごと手術で摘出外用薬など手術で摘出

粉瘤はニキビと間違われやすいのですが、袋があるために自然には治らず、潰しても再びたまってくる点が異なります。繰り返しできる、だんだん大きくなる、というしこりは粉瘤の可能性があります。

放置するとどうなる?

粉瘤は良性で、小さく症状がなければ、必ずしもすぐに手術が必要なわけではありません。ただし、注意すべき点があります。

炎症を起こすと厄介です(炎症性粉瘤)

粉瘤に細菌が入って感染すると、赤く腫れて痛み、膿がたまります。この状態を炎症性粉瘤といいます。こうなると、まず切開して膿を出す処置が必要になり、痛みも強く、治療が長引きます。また、炎症が治まった後も袋は残るため、結局あらためて摘出手術が必要になります。

また、粉瘤は自然に小さくなることはなく、時間とともに大きくなる傾向があります。大きくなるほど手術の傷も大きくなります。こうした理由から、炎症を起こす前の、小さくて落ち着いている時期に手術をするのがおすすめです。「気になるけど痛くないから」と放置するより、早めのほうが体への負担が少なくて済みます。

自分で潰さないでください

粉瘤を自分で潰すと、細菌が入って炎症を起こしたり、袋が残って再発したりします。かえって悪化させることが多いので、気になっても触らず、受診してください。

粉瘤の断面図。皮膚の下に袋があり中に角質がたまる構造と、袋ごと取り除く必要があることを示した図
図1:粉瘤の構造。皮膚の下の袋に角質がたまるため、袋ごと取り除かないと再発します

日帰り手術|くり抜き法

粉瘤を根本的に治すには、中身だけでなく袋ごと取り除く必要があります。袋が残ると再発するためです。当院では、体への負担が少ない日帰り手術で対応します。

くり抜き法(へそ抜き法)

粉瘤の中央にある開口部に、専用の円い器具で小さな穴を開け、そこから中身と袋を取り出す方法です。従来の切開して縫う方法に比べ、傷が小さく、縫わずに済むことも多いのが特徴です。小さめの粉瘤や、炎症を起こしていない粉瘤に適しています。

手術は局所麻酔で行い、日帰りで受けられます。粉瘤の大きさや部位、炎症の有無によっては、切開して縫合する方法が適していることもあります。診察で最適な方法をご提案します。

手術の流れ

  1. 診察・診断:しこりが粉瘤かを確認します。必要に応じて超音波などで評価します
  2. 局所麻酔:患部の周囲に麻酔をします
  3. 摘出:くり抜き法または切開法で、袋ごと取り除きます
  4. 処置・終了:傷を処置します。日帰りで帰宅できます
  5. 通院:術後の消毒や、必要に応じて抜糸のために1~2回ほど通院いただきます

摘出したものは、病理検査で良性であることを確認します。

こんなしこりは受診をおすすめします

皮膚の下のしこりには、粉瘤以外にもさまざまなものがあります。中には注意が必要なものもあるため、次のような場合は一度診察を受けることをおすすめします。

  • だんだん大きくなってきた
  • 赤く腫れて痛みが出てきた(炎症性粉瘤の可能性)
  • 中央に黒い点があり、押すと臭いのある内容物が出る
  • 硬い、動かない、急に大きくなったしこり(念のため他の病気との区別が必要です)
  • 顔など目立つ部位にあり、大きくなる前に取りたい

ほとんどの粉瘤は良性ですが、まれに他のできものとの区別が必要なこともあります。自己判断で潰したりせず、気になるしこりは診察でご相談ください。

費用の目安(保険適用)

粉瘤の手術は保険適用です。費用は、できた部位と大きさによって決まります。

大きさ・部位の区分3割負担の目安
露出部以外(体幹など)おおよそ数千円〜1万円台
露出部(顔・首・手など)や大きいものおおよそ1万円台〜2万円台

上記に加えて、初診料・再診料、病理検査代、処方薬代などがかかります。炎症を起こしている場合は処置の内容が変わります。正確な費用は診察時にお見積もりします。効果には個人差があります。

受診や治療を迷っている段階でも、公式LINEでご相談いただけます

「自分の症状で受診してよいのか」「まず費用の目安だけ知りたい」といったご質問は、公式LINEからお気軽にお送りください。ご予約前の確認だけでも承っています。LINEからそのままご予約いただくことも可能です。

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当院での粉瘤の日帰り手術について

当院では、粉瘤の手術は月間約50件行っています。

当院が粉瘤の診療で大切にしているのは、炎症を起こす前の手術をおすすめすることです。「痛くないから」と放置される方が多いのですが、一度炎症を起こすと治療が長引き、傷も大きくなりがちです。落ち着いた時期であれば、くり抜き法で小さな傷で済むことが多く、体への負担も抑えられます。

もちろん、すでに炎症を起こして腫れている場合も対応します。まず膿を出す処置で痛みを和らげ、落ち着いてから摘出、という流れをご説明します。

相模大野エリアでは、健康診断や人間ドックでしこりを指摘されて受診される方もいらっしゃいます。

診察室でよくいただくご質問

「これは手術しないとだめですか」というご質問をよくいただきます。小さくて症状がなければ、すぐに手術が必要というわけではなく、経過を見る選択肢もあります。ただ、粉瘤は自然には消えず、大きくなったり炎症を起こしたりする前のほうが手術は楽です。将来的に取るつもりがあるなら、落ち着いている今のうちに、というご提案をすることが多いです。最終的にどうするかは、ご希望を伺って一緒に決めます。

よくあるご質問

Q1. 粉瘤は自然に治りますか

治りません。袋状の構造が皮膚の下に残るため、中身を出しても再びたまってきます。根本的に治すには、袋ごと取り除く手術が必要です。

Q2. 手術は痛いですか。入院は必要ですか

局所麻酔をするため、手術中の強い痛みは抑えられます。麻酔の注射時にチクッとした痛みがあります。基本的には日帰りで受けられ、30分程度で終了します。入院は必要ないことが多いですが、部位やおおきさによってはご紹介とさせていただくことがございます。術後は数回、消毒や抜糸のために通院いただきます。

Q3. 傷跡は残りますか

くり抜き法では傷が小さく済むことが多いですが、まったく跡が残らないわけではありません。部位や体質によって傷の治り方は異なります。できるだけ目立ちにくくなるよう配慮して手術を行います。

Q4. 赤く腫れて痛みます。すぐ手術できますか

炎症を起こしている場合は、いきなり摘出せず、まず膿を出して炎症を抑える処置を優先することが多いです。炎症が落ち着いてから、あらためて袋を摘出する手術を行います。痛みが強い場合は早めに受診してください。

皮膚の下のしこりが気になる方は、一度ご相談ください。
炎症を起こす前の落ち着いた時期であれば、小さな傷での日帰り手術が可能です。

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監修:山岸 大樹(やまぎし ひろき)

スキンクリニック相模大野 院長

香川大学医学部卒。東京慈恵会医科大学附属病院皮膚科に長年勤務し、地域クリニックでも診療経験を積む。2024年8月、相模大野にて開院。一般皮膚科から美容皮膚科まで幅広く診療にあたる。

日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

参考文献・引用元

  • 日本皮膚科学会「粉瘤(アテローム)」疾患情報
  • 厚生労働省「医療広告ガイドライン」

※本記事は情報提供を目的としたものであり、診断・治療を確約するものではありません。治療の効果には個人差があります。記載の費用は2026年9月時点のもので、保険点数の改定等により変動する場合があります。自由診療の料金はすべて税込表示です。医療広告ガイドラインに基づき作成しています。