イベルメクチンクリーム(Ivermectin Cream)は、酒さ(特に丘疹膿疱型)やニキビダニが関与する皮膚炎の治療に用いられる外用薬です。主成分であるイベルメクチンは、もともと抗寄生虫薬として開発されましたが、その抗炎症作用とニキビダニ駆除効果が認められ、海外では外用治療薬として広く使用されています。
主な作用と効果
1. ニキビダニの駆除
イベルメクチンは、デモデックス(毛包虫)と呼ばれる皮膚常在のニキビダニに強い殺ダニ効果を持ちます。これにより、ダニの過剰増殖に起因する炎症や赤み、ブツブツした皮疹の改善が期待されます。
2. 抗炎症作用
イベルメクチンには、炎症を促進するサイトカインの産生を抑える働きがあります。これにより、赤みや腫れ、刺激感などの炎症症状が鎮まり、肌のバリア機能も改善されます。
適応となる疾患
- 酒さ(丘疹膿疱型酒さ)
- ニキビ(特にニキビダニが関与する場合)
- 酒さ様皮膚炎(ステロイド長期使用後の症状)
使用方法
- 使用回数: 1日1回(夜)
- 使用手順:
- 洗顔後、肌がしっかり乾いた状態で塗布します。
- 赤みやブツブツがある部位に薄く伸ばしてください。
- 目・口・粘膜は避けてください。
- 塗布後は手を洗ってください。
※刺激を感じる場合は、医師の指示に従い使用頻度を調整してください。
効果の実感時期
- 多くの方は2週間程度で効果を感じ始めます。
- 最大効果は12週程度の使用で現れることが多いと報告されています。
副作用と注意事項
主な副作用(まれに発生)
- 赤み
- かゆみ
- 皮膚のヒリヒリ感
- 湿疹・かぶれ
症状が強い場合や持続する場合は、すぐに使用を中止し医師に相談してください。
使用を控えるべき方
- 妊娠中・授乳中の方(安全性が確立されていないため)
- 本剤の成分にアレルギーのある方
他の外用薬との比較
外用薬名 | 成分 | 特徴 | 保険適応 | 使用頻度 |
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イベルメクチンクリーム | イベルメクチン1% | ダニ駆除+抗炎症、低刺激 | ×(自由診療) | 1日1回 |
ロゼックスゲル | メトロニダゾール0.75% | 抗炎症、保険適応あり、ゲル基剤で乾燥しやすい | ○ | 1日2回 |
アゼライン酸クリーム | アゼライン酸15〜20% | 抗炎症・美白効果、妊娠中も使用可 | × | 1〜2回/日 |
ミノサイクリンクリーム | ミノサイクリン4% | 抗菌・抗炎症、耐性菌リスクに注意 | × | 1日1回 |