トレチノイン(Tretinoin)は、ビタミンA(レチノール)誘導体の一種で、肌のターンオーバー(新陳代謝)を促進する外用薬です。米国では「しみ・ニキビ治療薬」として数十年以上前から使われており、日本では医療機関のみで購入が可能な医薬品です。
トレチノインの働き
トレチノインは、主に以下のような作用があります:
- 表皮のターンオーバーを促進
古い角質を早く剥がし、新しい皮膚細胞の生成を促します。 - メラニンの排出を助ける
肌の奥にたまったメラニンを表面に押し出し、シミや色素沈着を薄くします。 - 皮脂分泌を抑制
ニキビの原因となる皮脂の分泌を抑えるため、ニキビ治療にも効果があります。 
どんな症状に効果があるの?
トレチノインは、次のようなお悩みに使用されます:
- しみ(老人性色素斑、炎症後色素沈着など)
 - 肝斑(※ハイドロキノンとの併用が効果的)
 - ニキビとその色素沈着
 - 小ジワ・毛穴の開き
 
トレチノインの使用方法
使用頻度とタイミング
- 1日1回、夜のみ使用(朝は使用しないでください)
 - 洗顔後、化粧水や乳液などで肌を整えたあとに塗布します。
 
使用手順の例(ハイドロキノンと併用する場合)
- 洗顔後、化粧水・乳液で保湿
 - ハイドロキノンをシミより少し広めに塗布
 - トレチノインをシミの範囲に塗布(必ず順番を守りましょう)
 - 翌朝はやさしく洗顔し、日焼け止め(SPF20以上)を必ず使用
 
注意すべき副作用と対応方法
トレチノインは非常に効果の高い薬ですが、以下の副作用が出ることがあります。
主な副作用
- 赤み
 - 皮むけ(乾燥・ヒリヒリ感)
 - 一時的なニキビの悪化(初期反応)
 
これらは使用初期に起こりやすい反応で、多くは1〜2週間で落ち着きます。刺激が強いと感じた場合は、使用頻度を2〜3日に1回に減らすなど調整しましょう。症状が強い場合は、必ず医師にご相談ください。
使用上の注意点
- 妊娠中・授乳中の使用は避けてください
 - 紫外線対策は必須(日焼けすると色素沈着が悪化することがあります)
 - 目の周り・口周りなど皮膚の薄い部位には塗らないよう注意
 - 3ヶ月程度で一旦使用を中止し、肌の様子を確認
 
トレチノインは医療機関でのみ処方されます
市販の化粧品とは異なり、トレチノインは強い効果を持つ薬剤です。
そのため、自己判断での使用はおすすめできません。皮膚科で肌の状態を確認した上で、最適な濃度・使用法を処方いたします。
ハイドロキノンとの併用でさらに高い美白効果
トレチノインは、メラニンを排出する働きに優れており、
メラニンの生成を抑えるハイドロキノンと併用することで、
相乗効果が期待できます。
- 表皮にある「浅いしみ」にはこの併用療法が特に有効です。
 - 顔全体の美白では、ピーリングやイオン導入などを併用することもおすすめです。
 
