ボツリヌス製剤の耐性化

公開日:2026年7月14日/最終更新日:2026年7月23日 | 執筆・監修:スキンクリニック相模大野 院長 山岸 大樹(日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医)

結論から言うと、ボトックスを繰り返すうちに効きにくくなる「耐性」は、製剤に含まれる不純物(複合たんぱく質)が一因とされ、それを取り除いたコアトックスは耐性がつきにくいことを特長としています。

「以前は効いていたのに、最近効きが悪い」という方は、耐性が関係している可能性があります。この記事では、なぜ効かなくなるのか、コアトックスとは何か、どんな方に向くのか、費用と注意点までを解説します。コアトックスは自由診療・未承認薬です。

ボトックスが「効かなくなる」ことがある

ボツリヌス注射(ボトックス)は、繰り返し使用しているうちに効果が出にくくなることがあります。これを「耐性」と呼びます。

具体的には、「以前と同じ量を打っても効きが弱い」「効果の持続期間が短くなった」「まったく効かなくなった」といった形で現れます。すべての方に起こるわけではありませんが、特に使用量が多い部位を長期間治療している方に生じやすいとされています。

ボツリヌス注射そのものの仕組みについてはボツリヌス注射の記事で解説しています。この記事では「効かなくなる」問題に絞って説明します。

なぜ効かなくなるのか|中和抗体の仕組み

効かなくなる主な原因は、体が薬剤に対する「中和抗体」を作ってしまうことです。

ボツリヌス製剤は、有効成分であるボツリヌストキシンだけでなく、それを取り巻く複合たんぱく質を含んでいます。この複合たんぱく質は、成分を安定させる役割がある一方で、体にとっては「異物」として認識されやすい性質を持ちます。

異物と認識されると、体は免疫の働きでそれに対抗する抗体を作ります。この抗体が、注入されたボツリヌストキシンの働きを打ち消してしまう(中和する)ため、効果が出にくくなります。これが中和抗体による耐性です。

耐性がつきやすくなる要因

  • 短い間隔での頻回な注射
  • 1回あたりの使用量が多い(エラ・ふくらはぎ・多汗症など)
  • 長期間にわたる継続使用

このため、当院では適切な間隔(最低3ヶ月)をあけることをおすすめしています。効果が切れる前に打ち足すことは、耐性のリスクを高めます。

ボツリヌス製剤の複合たんぱく質が中和抗体を作り耐性が生じる仕組みと、複合たんぱく質を含まないコアトックスの違いを示した図
図1:耐性ができる仕組みと、コアトックスの違い。複合たんぱく質を含まないことで抗体ができにくくなります

コアトックスとは

コアトックス(CORETOX)は、韓国Medytox社が製造するボツリヌストキシン製剤です。最大の特徴は、耐性の原因となる複合たんぱく質を含まない点にあります。

有効成分であるボツリヌストキシンから、抗体産生の一因となる複合たんぱく質を除いた高純度の製剤です。異物として認識されにくいため、中和抗体ができにくく、繰り返し使用しても耐性がつきにくいことを特長としています。

また、製剤を安定させるために通常用いられるヒト血清アルブミン(人の血液由来成分)を含まない設計となっており、この点も従来製剤との違いです。

従来のボツリヌス製剤との違い

コアトックス従来のボツリヌス製剤
複合たんぱく質含まない含む
耐性(中和抗体)つきにくいとされる繰り返しで生じることがある
ヒト血清アルブミン不使用使用しているものが多い
効果・使い方従来製剤と同様

効果の出方や持続期間、施術方法そのものは従来のボツリヌス製剤と大きく変わりません。違いは「耐性のつきにくさ」にあります。

コアトックスが向いている方

  • すでに効きが弱くなってきたと感じる方
  • エラ・ふくらはぎ・多汗症など、使用量が多い部位を治療する方
  • 長期的に、繰り返し治療を続けていく予定の方
  • 将来的な耐性をできるだけ避けたい方

一方、年に1〜2回、少量を表情ジワに使う程度であれば、従来製剤でも耐性が問題になることは多くありません。どちらを選ぶかは、治療する部位・頻度・ご希望を踏まえて診察でご相談します。必ずしもコアトックスが全員に必要というわけではありません。

費用(自由診療・税込)

コアトックスの料金は部位ごとに設定しています。詳しくはコアトックスのページおよび料金表ページをご確認ください。

項目料金(税込)
コアトックス(部位別)料金表ページをご確認ください
初診料(画像診断機NeoVoir撮影込)4,400円
再診料1,100円

副作用・リスクと受けられない方

副作用や受けられない方の条件は、基本的に通常のボツリヌス注射と同様です。

起こりうる副作用

  • 注射部位の内出血・腫れ・痛み
  • 頭痛、重だるさ
  • 表情の左右差、不自然さ
  • まぶたや眉が下がる(部位による)
  • 注入部位以外への薬剤の拡散

施術を受けられない方

  • 妊娠中・授乳中の方、妊娠の可能性がある方
  • 全身性の神経筋接合部の疾患がある方(重症筋無力症など)
  • 本剤の成分に過敏症の既往がある方
  • 治療部位に感染や炎症がある方

未承認医薬品に関する情報提供

コアトックスは、日本国内において医薬品医療機器等法上の承認を受けていない医薬品です。当院医師の判断のもと、個人輸入により入手しています。同一の有効成分を含む国内承認医薬品として、A型ボツリヌス毒素製剤があります。諸外国における安全性等に係る情報として、重大な副作用等が明らかになっていない可能性があります。

個人輸入された医薬品は、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。また、美容目的でのボツリヌス製剤の使用は、眉間・目尻以外の部位では承認された効能・効果の範囲外(適応外使用)となります。

施術を迷っている段階でも、公式LINEでご相談いただけます

「自分の肌に合う施術か知りたい」「まず費用の見積もりだけ聞きたい」といったご質問は、公式LINEからお気軽にお送りください。ご予約前の確認だけでも承っています。LINEからそのままご予約いただくことも可能です。

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当院でのコアトックスについて

当院がコアトックスについてお伝えしているのは、「全員に必要なものではない」ということです。年に数回、表情ジワに少量を使う程度であれば、従来製剤でも耐性はほとんど問題になりません。コアトックスが力を発揮するのは、使用量の多い部位を長く続ける方や、すでに効きが落ちてきた方です。

「新しいから良い」「高いから効く」といった説明はしません。治療する部位、頻度、これまでの経過を伺い、コアトックスと従来製剤のどちらが合うかを一緒に考えます。ご希望があればコアトックス、必要性が低ければ従来製剤、という選び方で構いません。

相模大野エリアでは、他院での治療歴があり、効果の持続が短くなったとご相談される方が一定数いらっしゃいます。

診察室でよくいただくご質問

「一度耐性がつくと、もう二度と効かないのですか」というご質問をいただきます。耐性がついた場合でも、複合たんぱく質を含まない製剤に切り替えることで、改善が期待できることがあります。また、しばらく間隔をあけることで抗体が減っていくとも考えられています。効かなくなったからといって諦める必要はありません。まずはご相談ください。

よくあるご質問

Q1. コアトックスは従来のボトックスより効果が高いのですか

効果の強さや持続期間そのものは、従来製剤と大きく変わりません。コアトックスの利点は「耐性がつきにくい」ことであり、効果が格段に高いというものではありません。繰り返し治療を続ける方にとってのメリットとお考えください。

Q2. これまで従来のボトックスを使っていました。切り替えられますか

はい、切り替えは可能です。特に効きが弱くなってきたと感じる場合や、今後も継続予定の場合は、コアトックスへの切り替えが選択肢になります。診察でこれまでの経過を伺ったうえでご提案します。

Q3. 耐性がついているかどうか、調べられますか

中和抗体の有無を日常診療で正確に測定することは難しいのが実情です。「同じ量で効きが悪くなった」「持続が短くなった」といった経過から、耐性の可能性を推測します。判断に迷う場合もご相談ください。

Q4. コアトックスは安全ですか

コアトックスは国内未承認の医薬品であり、個人輸入により入手しています。副作用被害救済制度の対象外である点を含め、リスクを理解したうえで選択いただく必要があります。副作用そのものは従来のボツリヌス製剤と同様です。診察で十分にご説明します。

ボトックスの効きが悪くなってきたと感じる方は、一度ご相談ください。
耐性の可能性を確認し、コアトックスを含めた選択肢をご提案します。

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監修:山岸 大樹(やまぎし ひろき)

スキンクリニック相模大野 院長

香川大学医学部卒。東京慈恵会医科大学附属病院皮膚科に長年勤務し、地域クリニックでも診療経験を積む。2024年8月、相模大野にて開院。一般皮膚科から美容皮膚科まで幅広く診療にあたる。

日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

参考文献・引用元

  • 厚生労働省「医療広告ガイドライン」
  • 厚生労働省「個人輸入された医薬品等の使用に関する注意喚起」
  • 各医薬品の添付文書(A型ボツリヌス毒素製剤)

※本記事は情報提供を目的としたものであり、診断・治療を確約するものではありません。治療の効果には個人差があります。自由診療の料金はすべて税込表示で、2026年7月時点のものです。料金は予告なく変更となる場合があります。医療広告ガイドラインに基づき作成しています。