結論から言うと、乾癬は「うつる病気ではなく」、外用薬から新しい注射薬まで治療の選択肢が広がっており、症状をしっかり抑えて良い状態を保つことが十分に目指せます。
赤い発疹に銀白色のフケのようなものが重なり、繰り返す。乾癬(かんせん)は慢性の皮膚疾患ですが、近年治療が大きく進歩しました。この記事では、うつるのかという疑問から、原因、段階的な治療、日常のケアまでを解説します。多くは保険診療です。
乾癬(かんせん)とは
乾癬は、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)が異常に速くなり、赤い盛り上がり(紅斑)の上に、銀白色のフケのようなもの(鱗屑:りんせつ)が厚く重なる、慢性の皮膚疾患です。
通常、皮膚は約28日かけて生まれ変わりますが、乾癬ではこれが数日にまで短縮され、未熟な細胞が次々と表面に押し上げられて厚く積み重なります。ひじ・ひざ・頭皮・おしりなど、こすれやすい部位に出やすいのが特徴です。かゆみを伴うこともあります。
乾癬はうつる?
乾癬は人にうつる病気ではありません。
「かんせん」という読みから「感染する」と誤解されがちですが、細菌やウイルスによる感染症ではなく、免疫の働きが関与する体質的な炎症性疾患です。プール、入浴、握手、タオルの共用などで人にうつることは一切ありません。この点は、ご本人にとってもご家族にとっても、まず知っていただきたい大切なことです。
乾癬の原因
はっきりした原因は完全には解明されていませんが、生まれ持った体質(遺伝的素因)に、さまざまな環境要因が加わって発症・悪化すると考えられています。
- 免疫の異常:免疫が過剰に働き、皮膚に炎症を起こします
- 生活習慣:肥満、喫煙、飲酒、ストレスが悪化に関与します
- 感染・薬剤:扁桃炎などの感染や、一部の薬が引き金になることがあります
- 物理的刺激:こすれ・傷などの刺激を受けた部位に出やすい傾向があります
乾癬のタイプ
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| 尋常性乾癬 | 最も多いタイプ。赤い発疹+銀白色の鱗屑 |
| 関節症性乾癬 | 皮膚症状に関節の痛み・腫れを伴う(乾癬性関節炎) |
| 膿疱性乾癬 | 膿を持った小さな発疹が多発。全身に及ぶこともある |
| 滴状乾癬 | 小さな発疹が全身に散らばる。感染が引き金になることも |
関節に痛みや腫れがある場合は、関節症性乾癬の可能性があり、早めの対応が大切です。気になる症状があればお伝えください。
放置するとどうなる?
乾癬は命に関わる病気ではありませんが、放置すると皮膚症状が広がり、かゆみや見た目の負担が続きます。関節症性乾癬を見逃すと、関節の変形が進むことがあります。
また近年、乾癬は皮膚だけの病気ではなく、肥満・糖尿病・脂質異常症・心血管疾患などと関連することが分かってきました。皮膚症状のコントロールとあわせて、生活習慣にも目を向けることが大切とされています。適切な治療で炎症を抑えることが、こうしたリスクの管理にもつながります。
段階的な治療
乾癬の治療は、重症度に応じて段階的に進めます。まず外用薬から始め、効果が不十分な場合に次の選択肢を検討します。
① 外用薬(基本の治療)
ステロイド外用薬と、活性型ビタミンD3外用薬が中心です。両方を配合した塗り薬もあり、炎症とターンオーバーの異常の両方に働きかけます。多くの方はここでコントロールを目指します。
② 光線療法(ナローバンドUVB等)
特定の波長の紫外線を照射し、皮膚の過剰な免疫反応を抑えます。外用で不十分な場合や、広範囲の場合に検討します。※当院では光線療法の対応ができず、ご紹介となります。
③ 内服薬
免疫の働きを調整する内服薬(アプレミラスト等)や、従来からの内服薬を用いることがあります。
④ 生物学的製剤
中等症〜重症の乾癬に対する、注射のお薬です。乾癬の炎症に関わる特定の物質をピンポイントで抑え、高い効果が期待できます。皮膚症状だけでなく関節症状にも有効なものがあり、乾癬治療を大きく変えました。
生物学的製剤や光線療法など、専門的な治療が必要な場合は、連携する医療機関へのご紹介も行います。まずは外用薬での治療を含め、現在の状態に合った方法を診察でご提案します。当院はアトピー性皮膚炎など、慢性の皮膚疾患の診療経験も踏まえて対応します。
日常でできるケア
- 保湿:乾燥は悪化要因。鱗屑をやわらかく保ちます
- こすらない・掻かない:刺激を受けた部位に新たな発疹が出やすくなります
- 生活習慣:禁煙・節酒・適正体重・ストレス対策が症状の安定に役立ちます
- 入浴:熱すぎない湯で、やさしく。鱗屑を無理に剥がさない
受診や治療を迷っている段階でも、公式LINEでご相談いただけます
「自分の症状で受診してよいのか」「まず費用の目安だけ知りたい」といったご質問は、公式LINEからお気軽にお送りください。ご予約前の確認だけでも承っています。LINEからそのままご予約いただくことも可能です。
当院での乾癬の診療について
当院では、乾癬のご相談は月間約50件です。
当院が乾癬の診療で大切にしているのは、まず「うつらない病気である」ことをお伝えし、不安を取り除くことです。見た目の症状から人目を気にされる方が多いですが、正しく理解し、治療を続ければ良い状態を保てます。外用薬でのコントロールを基本に、必要に応じて次の段階の治療や、専門的な治療のご紹介を行います。
また、関節の痛みを伴う場合や、生活習慣との関連についてもお話を伺い、皮膚だけでなく全身の視点でご相談に応じます。
相模大野エリアでは、乾燥する冬に悪化してご相談が増える傾向があります。
「乾癬は一生治らないのですか」というご質問をよくいただきます。乾癬は体質的な要素があり、完全に体質を変えることは難しいですが、治療で症状をほとんど気にならない状態に保つこと(寛解)は十分に可能です。近年は治療の選択肢が大きく増え、以前よりずっとコントロールしやすくなっています。あきらめる必要はありません。
よくあるご質問
Q1. 乾癬は本当にうつりませんか
うつりません。感染症ではなく、免疫が関与する体質的な炎症性疾患です。プールや入浴、接触でうつることは一切ありませんので、ご安心ください。
Q2. 乾癬は治りますか
体質が背景にあるため完全に治すことは難しいですが、治療で症状をほとんど気にならない状態に保つこと(寛解)は十分可能です。良くなった後も、良い状態を維持するケアが大切です。
Q3. ステロイドを塗り続けて大丈夫ですか
症状に合った強さの薬を、医師の指導のもとで適切に使えば問題ありません。ビタミンD3外用薬との併用や配合剤で、より効率的にコントロールを目指します。自己判断で中断せず、ご相談ください。
Q4. 関節が痛みます。乾癬と関係ありますか
乾癬に関節の痛みや腫れを伴う「関節症性乾癬(乾癬性関節炎)」があります。放置すると関節に影響が及ぶことがあるため、皮膚症状に加えて関節症状がある場合は、早めにお伝えください。適切な治療につなげます。
乾癬でお悩みの方、うつるのではと不安な方は、一度ご相談ください。
うつらない病気であることをお伝えし、状態に合った治療をご提案します。
参考文献・引用元
- 日本皮膚科学会「膿疱性乾癬(汎発型)診療ガイドライン」ほか乾癬関連情報
- 各医薬品の添付文書
- 厚生労働省「医療広告ガイドライン」
※本記事は情報提供を目的としたものであり、診断・治療を確約するものではありません。治療の効果には個人差があります。記載の費用は2026年9月時点のもので、保険点数の改定等により変動する場合があります。自由診療の料金はすべて税込表示です。医療広告ガイドラインに基づき作成しています。
