水道水イオントフォレーシスとは

水道水イオントフォレーシスは、微弱な電流を利用して発汗を抑える治療法です。電気分解によって生じた水素イオンが汗腺細胞にあるイオンチャネル※をブロックすることで、発汗を止めるという仕組みです。回数を重ねるごとに効果が現れますが、治療を中止すると徐々に元の状態に戻るため、定期的な通院が必要です。
また、水道水イオントフォレーシスは保険適用の治療法であり、安心して続けやすい治療です。
※ イオンチャネルとは、細胞膜に存在する膜貫通タンパク質で、受動的にイオンを通過させる役割を持っています。
水道水イオントフォレーシスの利点
- 痛みの少ない治療: 治療中に痛みを感じることはほとんどありません。もし痛みを感じる場合は、出力を調整して対応します。
- 保険適用: 保険適用であり、経済的な負担が軽減されます。
- 副作用の心配が少ない: 代償性多汗(治療部位以外に汗が出る)などの副作用がないため、安心して治療を続けられます。
- 全年齢対応: お子様から大人の方まで、年齢に関係なく治療を受けることができます。
対象となる方
- 多汗症でお悩みの方
- 紙に文字を書いていると紙が湿ってしまい、困っている方
- 外用薬(アポハイドローション、塩化アルミニウム液外用など)を使用していても効果が不十分な方
治療の流れ
初回の方は、まずは適応があるかどうかの確認、治療内容の説明をいたします。保険診療の初診・再診の枠にてご予約をお取りください。
当院は予約制のクリニックとなっております。また、水道水イオントフォレーシスは、治療に約30分ほど時間がかかります。予約に空きがあれば、直接お越しいただくことも可能ですが、予めご連絡いただくことをお勧めします。
イオントフォレーシス療法が適応できるかを医師が判断します。適応が確認され、施術枠にあきがあれば、当日から治療が可能です。
タオルをのせた電極パッドに手のひらや足の裏を乗せます。6~10mA程度の直流電流を流します。
通常、6~10分間の通電を2回行います。治療中にはピリピリとするような感覚が出ますので、刺激が強い場合はお伝え下さい。
当院では週に1回の治療を推奨しています。5~6回目で効果を実感することが多いですが、10回程度は継続するように推奨しています。
注意点と副反応
- 治療部位に傷のある方は事前にお伝えください。ワセリンでの保護を行いますが、傷の大きさや部位によっては、施術ができないことがあります。
- 治療の前日から、治療部位に薬やクリーム、マニキュア、ペディキュア等、何も塗らないでください。
- 電流の流れ始めや治療中、刺激に驚いても電極から手や足を離さないでください。痛みが逆に強くなる可能性があります。
- 治療後、短時間ですが、ピリピリ感や痒みが残ることがあります。
- まれに痒みや水疱、赤みを生じる方がいらっしゃいます。
治療を受けられない方
- 心臓に障害のある方
- ペースメーカーを埋め込まれている方
- 妊娠中・授乳中の方
- 施術部位に傷のある方(軽度の傷ならワセリン塗布して施術を行います)
- 施術部位近くの体内にインプラントや骨固定等の金属がある方
- ネイル・マニキュア・ペディキュアをしている状態の方
よくある質問
- イオントフォレーシス療法はなぜ効果があるのですか?
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発生した水素イオンが汗の出口に影響し、発汗を抑制すると考えられています。
- 通電中は痛いですか?
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ピリピリするような刺激感はありますが、強いものではありません。痛みを感じた場合は、出力を調整いたします。
- 効果が出るまでどれくらいかかりますか?
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5〜6回の治療で効果を実感される方が多いです。その後、継続的な治療を行うことで効果を維持できます。
- 治療後、お風呂などに制限はありますか?
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特に制限はありません。
- 保険適用でしょうか?費用はどの位ですか?
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保険適用の治療です。3割負担の場合、約660円の負担です(2025年現在)。