ニキビ

ニキビ(尋常性ざ瘡)について

ニキビは、毛穴の中に皮脂が溜まり、細菌感染が起きることで赤みや腫れを引き起こす疾患です。医学的には「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と言います。

ニキビの原因

思春期に起こる「思春期ニキビ」では、ホルモンバランスの乱れにより皮脂分泌が活発になり、毛穴が詰まることで生じます。皮脂腺の多いおでこやTゾーンなどにできやすく、また背中や胸元も皮脂腺が多いため、顔以外でも思春期ニキビが起こることがあります。大人のニキビも、基本的には毛穴の詰まりが原因です。ターンオーバーの乱れや、基礎化粧品やメイク用品の使用によって毛穴が詰まることにより生じます。

ニキビの原因となるアクネ菌は、皮脂腺の奥にいる常在菌で、普段は皮膚を守る役割を果たしています。皮脂を好むアクネ菌は、毛穴の中の皮脂が増えると、皮脂を養分として過剰増殖し、炎症を引き起こします。ニキビの原因であるアクネ菌の増殖を防ぐためには、皮脂分泌が過剰になる要因を減らしていくこと、毛穴の詰まりを解消することが重要です。

ニキビの治療

毛穴のつまり(コメド)と、抗菌薬の外用を中心に治療を行います。これまでに皮膚科で治療をされたことのない方は、まずは保険診療の範囲内で治療を開始することを推奨しています。しかしながら、米国などと比較すると、保険診療だけでは治療の選択肢が少ないのも現状で、効果的な治療が行なえない方もおられます。

保険診療で改善の乏しいニキビに悩まれている方には、各種自費診療も行っておりますので、ご希望の方はご相談ください。

コメド治療薬

皮脂や角質などによって「毛穴が詰まった状態」のことをコメド(面ぽう)と言います。

いわゆるピーリング作用のある外用薬を使用します。

  • ディフェリンゲル(アダパレン)

皮膚の角化を緩和し、毛穴の詰まりを改善します。毛穴の詰まりを改善することで、アクネ菌の増殖(炎症)を防ぎます。

  • ベピオゲル/ローション(過酸化ベンゾイル)

ピーリング作用はもちろん、殺菌作用のある薬です。ローションタイプも新しく発売されており、こちらのほうがやや刺激が少ない印象です。良い塗り薬なのですが、衣服につくと脱色作用があるため、注意が必要です。

  • エピデュオゲル

ディフェリンゲル(アダパレン)とベピオゲル(過酸化ベンゾイル)が合わさった塗り薬です。保険治療薬のなかでは最も有効性に優れていますが、その分刺激を感じる方もおられます。

コメド治療薬の使い方

いずれも基本的には同じ使い方です。1日1回、夜の洗顔後、患部に塗布します。目の周りや口唇、粘膜、傷口をさけ、こすらず優しく塗ってください。翌朝の洗顔時に洗い流します。早ければ2週間程度で効果を実感できますが、ターンオーバーの観点から、可能であれば2-3ヶ月は同じ薬剤での治療を続けることをおすすめしております。

コメド治療薬の注意点

ピーリング作用のある外用薬のため、赤み、ヒリヒリ感、皮むけ、乾燥などの症状が現れることがあります。外用薬が顔に乗っている時間が長いほど治療効果が強く出ますが、副反応の可能性も高くなりますので、当院ではまず短時間の外用から開始してもらうことをおすすめしています。

おすすめの使用法

まずは30分程度顔に乗せて、洗い流してしまうところから開始していただきます。数日間使用して、大丈夫であれば1時間、2時間と徐々に乗せている時間を長くしていただきます。徐々に刺激に慣れていきますので、比較的トラブルが少なく使用することができます。

一方でどうしても薬が合わない方もおられますので、そういった方には種類を変更するか、自費の外用と内服薬のご案内も可能です。ご希望があればご相談ください。

抗菌薬による赤ニキビ治療

アクネ菌により炎症が生じてしまった赤ニキビは、放置すると皮膚内部で炎症が広がり、皮膚組織を傷つけてしまいます。そのため、炎症が落ち着いても赤みが残ってしまい、でこぼことした「ニキビ跡」ができてしまいます。細菌感染のコントロールを目的として、外用と内服の抗菌薬を使用します。

外用の抗菌薬

アクアチム(ナジフロキサシン)/ダラシン(クリンダマイシン)/ゼビアックスなど

いずれも抗菌薬として使用します。それぞれ使用回数は多少異なりますが、いずれもできてしまった赤いニキビの上に塗ります。

抗菌薬を長期的に使用すると、抗菌薬の効きにくいアクネ菌(耐性菌)がでてくることがあります。これが出てくると薬が効かなくなってしまい、ニキビの予防や治療が難しくなってきます。自己判断で漫然と使い続けることはせず、医師の指示に従って治療を行うようにしましょう。

内服の抗菌薬

ビブラマイシン/ミノマイシン/ルリッドなど

炎症の強いニキビの場合、内服の抗菌薬をお出しすることがあります。耐性菌の発生予防を含め、最長でも2週間で内服を終了していただいています。場合により上記以外の内服薬を使用することがあります。

混合薬

デュアック

ダラシン(クリンダマイシン)とベピオゲルの混合薬です。

1日1回の使用で良いので簡単で使いやすい外用薬です。混合薬のため、耐性菌のリスクがあること、赤みが出やすい方がおられます。上手に使えると非常に便利な外用薬です。

ニキビ治療は根気よく続けることが大切

皮膚のターンオーバーを考えると、まず3ヶ月は治療を続けることをおすすめしています。長いと感じるかもしれませんが、根気よく治療を続けることで、ニキビができにくい肌を目指すことができます。

当院で行っているニキビの自費診療

詳細は各ページに記載しております。ご参照ください。