イソトレチノイン

イソトレチノインとは

イソトレチノインはビタミンAの一種です。イソトレチノインは成分名で、イソトロイン・アキュテイン・ロアキュタンといった商品名でも知られています。アメリカをはじめ、海外のほとんどの国でニキビの標準治療として使用されている治療効果の高い薬剤ですが、日本では保険適用になっていません。FDA(米国食品医薬品局)の認可も受けており、従来の外用薬で改善が乏しいニキビや、炎症が進行した重度・難治性ニキビに対して高い効果を発揮します。当院ではアクネトレントという製品名のものを採用しています。

ニキビの治療とイソトレチノイン

ニキビの治療には、皮脂の過剰分泌を抑えることと、毛穴詰まりをとることが非常に重要です。保険診療でも、過酸化ベンゾイルやアダパレンゲルなど、いわゆるピーリング作用がある薬剤を外用することで治療を行います。保険範囲の外用のみでコントロールがつく方が多いのですが、一定の割合でこの外用では治療がうまくいかない、あるいは落ち着くが再発を繰り返す方がおられます。この難治性ニキビの直接の原因は、皮脂腺の肥大化です。過剰な皮脂が毛穴を詰まらせ、アクネ菌が増えている状態が続くと、複数の皮脂腺が合体して、皮脂腺が大きくなっていってしまいます。大きくなった皮脂腺は自然に縮小することがないため、そこに繰り返し大きなニキビができてしまいます。そういった重度・難治性ニキビをお持ちの方におすすめできるのがイソトレチノインです。内服することで体の中から皮脂腺にアプローチし、ニキビの治療を行います。

・皮脂分泌の抑制

イソトレチノインの内服は、皮脂腺を縮小させる作用があります。皮脂分泌の抑制ができるため、アクネ菌の繁殖も防ぐことができます。

・毛穴詰まりの解消

毛穴の詰まりを改善する効果があり、皮脂が毛穴に溜まってしまうのを防ぐことができます。内服のピーリング薬、ともお伝えしていますが、乾燥しやすくなるのはこの角化の正常化による作用があらわれたものです。

・ニキビの赤み改善

増殖したアクネ菌と戦うために、免疫細胞が集まってきて炎症が起こります。赤みはこの炎症細胞によるものです。イソトレチノインは、免疫反応を正常化する作用があり、免疫反応を抑えることでニキビの炎症を緩和してくれます。

イソトレチノイン治療の流れ

STEP
診察

まずは診察を受けていただき、現在のニキビの状態の確認と、これまで受けた治療内容などについてお伺いします。治療適応があり、治療のご希望があれば治療を開始できます。画像診断も並行して行います。

STEP
同意書のご記載、血液検査

イソトレチノインの治療には副反応や注意点がありますので、同意書を確認しながら説明を行います。また、同時に肝機能の確認を目的とした血液検査を行う必要があります。

STEP
治療開始

1日20mgのイソトレチノイン内服を開始します。当院では、副反応の確認のためにまずは10日分のイソトレチノインを処方します(10日分5500円)。2回目の受診の際に血液検査結果の確認、副反応がないことをなど確認できれば、継続で処方を行います。

STEP
再診

治療を開始してから3ヶ月の間は、1月ごとに血液検査と副作用の確認を行います。

問題がなければ最長3ヶ月分の長期処方が可能ですが、定期的な血液検査が必要です。治療期間として、3~5ヶ月の内服継続を推奨しています。内服を終了しても改善効果が続くことがほとんどですが、ニキビが再発するようなら、症状を診ながら再度内服を行います。

税込価格:30日分16500円(1錠550円)

注意事項

・イソトレチノインの効果や経過には個人差があります。

・妊娠中、および妊娠の可能性がある方の内服はできません。また、男女問わず服用中、および服用終了から一定期間避妊の必要があります。

・最後に服用してから6ヵ月間は献血を避けてください(妊婦への輸血を避けるため)。・その他主な副作用に、発疹、鼻出血、皮膚の乾燥、頭痛、視覚障害、筋肉や関節の圧痛、悪心、嘔吐、うつ病、自殺企図などがあります。

・イソトレチノインの服用期間中、飲み忘れてしまった場合でも、1回の内服量を守りましょう。

・内服中、レーザーなどの美容施術は問題ありませんが、施術予定の医療機関へ必ず相談してください。

・服用期間中は紫外線の影響を受けやすくなります。紫外線対策を十分に行ってください。

下記に当てはまる方は、イソトレチノインを処方できません。

・15歳未満の方

・妊娠の可能性がある方、妊娠中や授乳中の方

・成長期で身長が伸びている方

下記に当てはまる方は、イソトレチノインを処方できない可能性があります。

・テトラサイクリン系の薬剤を内服している方

・ステロイドの内服をされている方(外用は問題ありません)

・イソトレチノイン製剤、トレチノイン製剤でアレルギーの既往歴がある方

・肝機能障害のある方

・うつ病などの精神疾患を抱えている方

・ビタミンA過剰症の方