アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性の皮膚疾患です。肌のバリア機能の低下と免疫の異常が重なって起こると考えられています。適切な治療と正しいスキンケアを組み合わせることで、症状をコントロールすることが可能です。「なかなか良くならない」「かゆくて眠れない」という方は、まずはご受診ください。

アトピー性皮膚炎とは

「増悪と寛解を繰り返す、かゆみのある湿疹」が主な症状で、アトピー素因(アレルギー体質・家族歴)を持つ方に多く見られます。乳幼児では顔・頭部に好発し、成長とともに肘の内側・膝の裏・首などに移行することが多いです。

乾燥・汗・衣類の摩擦・ストレス・アレルゲン(ダニ・ハウスダスト・花粉・食べ物など)が症状を悪化させる誘因となります。

治療

アトピー性皮膚炎の治療は、①薬物療法、②スキンケア(保湿)、③悪化因子の除去、この3本柱を組み合わせることが基本です。

ステロイド外用薬

炎症を抑える基本的な治療薬です。強さにⅠ〜Ⅴのランクがあり、症状の程度・部位に合わせて適切なランクを選択します。正しい使い方をすれば安全に使用できます。症状が落ち着いた後もすぐに中止せず、徐々に減らしていくことが大切です(プロアクティブ療法)。

ステロイドへの不安をお持ちの方へ

適切な強さのステロイド外用薬を正しい量・期間で使用することで安全に炎症を抑えることができます。むしろ使用を控えて炎症を放置するほうが、皮膚へのダメージや色素沈着・皮膚の感染症につながることがあります。部位や症状に合わせたランク選択と使い方について、診察で詳しくご説明しますのでお気軽にご相談ください。また、可能な限りステロイド外用量を減らすように治療を行いますが、全くステロイド外用を使用しないでほしい、というご希望には沿うことができません。

タクロリムス軟膏(プロトピック®)

ステロイドとは異なる機序で炎症を抑える外用薬です。顔・首など皮膚が薄くステロイドが使いにくい部位や、ステロイドで改善後の維持療法に用います。2歳以上から使用可能です(小児用0.03%・成人用0.1%)。初期に皮膚のヒリヒリ感が出ることがありますが、慣れとともに治まります。

デルゴシチニブ軟膏(コレクチム®)

外用のJAK阻害薬です。生後6ヶ月から使用でき、ステロイドと異なる機序で炎症を抑えます。ステロイドで症状を改善させた後の維持療法として使いやすい外用薬です。

ジファミラスト軟膏(モイゼルト®/ブイタマー®)

PDE4(ホスホジエステラーゼ4)阻害薬の外用薬です。生後3ヶ月から使用でき、コレクチムと同様にステロイドとは異なる機序で炎症を抑えます。ステロイドで改善した後の維持療法や、ステロイドを減らしていく段階での併用に向いています。

保湿・スキンケア

バリア機能の低下した皮膚を保湿剤で補うことが、炎症の予防と症状の維持に欠かせません。症状が出ていない時期も継続して使用することが重要です。入浴後はできるだけ早めに保湿剤を塗布してください。

抗ヒスタミン薬(内服)

かゆみが強い場合に抗ヒスタミン薬を内服として組み合わせることがあります。

生物学的製剤(注射)・JAK阻害薬(内服)

外用薬による標準治療を直近6ヶ月以上続けても効果が不十分な中等症〜重症の方に、以下の全身療法が選択肢となります。当院での処方が難しい場合は大学病院などの専門医療機関へご紹介します。

デュピクセント®(デュピルマブ):IL-4とIL-13の働きをブロックする生物学的製剤(注射薬)。アトピー性皮膚炎に対する初の生物学的製剤として2018年に承認。2週間に1回の皮下注射で、かゆみや皮疹の大幅な改善が期待できます。生後6ヶ月以上が対象です。

ミチーガ®(ネモリズマブ):かゆみを誘発するIL-31の働きを抑える注射薬です。発疹よりもかゆみが特に強い方に向いています。4週間に1回の皮下注射です。

アドトラーザ®(トラロキヌマブ):IL-13に特化してブロックする注射薬です。デュピクセントと似た仕組みですが、IL-13のみをターゲットにしている点が特徴です。2週間に1回の皮下注射です。

イブグリース®(レブリキズマブ):IL-13に結合する抗体薬です。2024年に日本で承認された比較的新しい生物学的製剤で、効果が安定した後は4週間に1回の投与も可能です。

JAK阻害薬(内服):オルミエント®・リンヴォック®・サイバインコ®などの経口JAK阻害薬も、注射が難しい方や早くかゆみを抑えたい方の選択肢となります。適応については診察でご相談ください。

日常スキンケアのポイント

  • 入浴はぬるめのお湯でやさしく洗う。ゴシゴシこすらないようにしましょう
  • 入浴後できるだけ早く(5〜10分以内に)保湿剤を塗布してください
  • 症状が落ち着いている時期も保湿は毎日継続しましょう
  • 爪は短く保ち、掻き壊しを防ぎましょう
  • 汗をかいたら早めにシャワーで流すか拭き取りましょう
  • 衣類は肌触りのよい綿素材を選び、洗剤は低刺激のものを使いましょう
  • ダニ・ハウスダスト対策として、寝具のこまめな洗濯・掃除機がけを心がけましょう

よくあるご質問

アトピー性皮膚炎は完治しますか?

乳幼児では成長とともに自然に症状が軽くなることがあります。一方で大人になっても続く方や、大人になってから発症する方もいます。「完治」より、適切な治療と日々のスキンケアで「症状がほとんどなく、日常生活を普通に送れる状態」を維持することが現実的な目標です。「どうせ治らない」と諦めずに、早めに受診してください。

ステロイドを使い続けると副作用が怖いのですが?

副作用が問題になるのは、強すぎるランクのものを長期間・大量に間違った部位に使い続けた場合です。適切なランクのものを正しく使えば安全な薬です。当院では部位や症状に合わせた適切なものを処方し、使い方・減らし方も詳しくお伝えします。ご不安な点は遠慮なくご相談ください。

食べ物を制限すれば良くなりますか?

乳幼児では食物アレルギーが関与することがありますが、成人のアトピー性皮膚炎の多くは食物が直接の原因ではありません。自己判断での除去食は栄養の偏りを招くことがあります。食物アレルギーが疑われる場合は血液検査などで確認した上で判断します。

生物学的製剤や注射薬はどんな人が対象ですか?

ステロイド外用薬などによる標準治療を直近6ヶ月以上続けても改善しない中等症〜重症の方が対象です。デュピクセント・ミチーガ・アドトラーザ・イブグリースなど複数の選択肢があり、症状のタイプや患者さんのご希望に合わせてご提案します。既存の治療でコントロールできている場合は適応外となります。まずは診察で現在の状態と治療歴をお聞きした上でご提案します。

かゆみや湿疹でお悩みの方は、お気軽にご受診ください。
症状に合わせた治療をご提案します。

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※本ページの内容は情報提供を目的としたものであり、診断・治療を確約するものではありません。治療の適応・効果には個人差があります。医療広告ガイドラインに基づき作成しています。