パッチテスト

パッチテスト(接触によるアレルギー、金属のアレルギー検査)について

パッチテストは、金属や化粧品などで「かぶれ」が起きる方に行う検査で、原因となる物質(アレルゲン)を特定する目的で行います。

そもそもアレルギーはⅠ型からⅣ型に分類され、金属や化粧品など、肌にものが触れることによってアレルギー反応を起こすものは遅発型(Ⅳ型)アレルギーと呼ばれます。

この遅発型(Ⅳ型)アレルギーは、食物アレルギーなどの即時型(Ⅰ型)アレルギーとは異なるメカニズムでおこります。そのため血液検査で原因を調べることができず、原因となる可能性のある物質を含んだ試薬を皮膚に直接貼り付け、アレルギー反応が起きるかどうかを調べる必要があります。これをパッチテストと呼びます。

当院で行うことのできるパッチテスト

パッチテストパネル®(佐藤製薬)

ジャパニーズスタンダードアレルゲンと呼ばれる反応を起こしやすい24種類の物質から、ウルシと水銀以外の22種類の物質を網羅したものです。

パッチテストパネル®(佐藤製薬)の一覧表
パッチテストパネル®(佐藤製薬)の一覧表

(引用:佐藤製薬株式会社パンフレットより) 

金属パッチテスト

金属アレルギーの検査には、金属パッチテストを行います。金属試薬を含ませた15種類のシールを直接皮膚に貼り、アレルギー反応が生じるかどうかを調べる検査です。アレルギーの原因となる成分を長時間皮膚につけ、反応が起きるかどうかでアレルゲンを特定することができます。当院で行っている金属アレルギー検査は保険適応で、15種類の金属に対するアレルギー検査を行うことができます(鳥居薬品株式会社の金属アレルギー検査試薬)。

【保険適応】金属アレルギー検査(金属パッチテスト)

金属アレルギー検査の検査項目

1 塩化アルミニウム
2 塩化コバルト
3 塩化第二スズ
4 塩化第二鉄
5 ヘキサクロロ白金酸
6 塩化パラジウム
7 塩化マンガン
8 三塩化インジウム
9 四塩化イリジウム
10 臭化銀
11 重クロム酸カリウム
12 硫酸ニッケル
13 塩化亜鉛
14 テトラクロロ金酸
15 硫酸銅

引用:『パッチテスト試薬金属』添付文書、鳥居薬品株式会社より

パッチテストの方法

  1. 基本的には背中の正常な皮膚に、かぶれの原因(アレルゲン)を直接貼ります。48時間貼り続ける必要があるため、貼っている2日間は入浴を避けていただきます。
  2. 貼ってから48時間後(2日目)に1回目の判定をします。受診して頂き、シートをはがしてから1回目の判定を行います。
  3. 貼ってから72時間後(3日目)に2回目の判定をします。
  4. 貼ってから7日目に最終の判定を行い、合計3回の判定の結果をもとに最終的な診断を行います。
  • 血液検査などとは異なり、正確な判定をするために何回か来院する必要がある検査です。ご予定のつくタイミングでのご受診をおすすめします。

注意事項

  • パッチテストを貼っている2日間は、検査部位を濡らさないようにします。湯船に入ることや汗をかきやすい行動も控えてください。試薬が流れる、汗でかぶれるなどで適切な判定ができなくなります。
  • アレルギー薬(抗ヒスタミン剤やステロイドなど)の内服をしている状態では正確な判定ができなくなります。内服している方は問診の際にお伝えください。
  • ステロイドの外用薬などを使用中の場合、検査部位やその周囲への使用は避けてください。それ以外の部位であれば使用を続けても問題ありません。
  • パッチテスト開始から判定終了までの日程がずれてしまうと、正しい判定ができなくなります。また、炎症やかぶれなどが生じた場合、迅速な処置ができなくなり、症状が悪化してしまうこともあります。金属アレルギー検査をご希望の方は、事前にスケジュール調整をしていただき、予定通りに受診していただくようお願いいたします。
  • 陰性と判断された場合でも、パッチテスト以外の条件下でアレルギー性接触皮膚炎を引き起こす可能性は否定できません。あらかじめご了承ください(偽陰性の可能性)。
  • パッチテストでアレルギー反応が強く出た場合、茶色い痕(炎症後色素沈着)や瘢痕を残す可能性があります。

よくある質問

今まで症状が出たことはありませんが、心配なので検査をしてみたいです。

接触皮膚炎や金属アレルギーなどが疑われる症状がない方で、症状が出るかを予め調べたいという目的でのパッチテスト(予知パッチテスト)は推奨されていません。長時間アレルゲンを皮膚に貼るため、感作のリスクがあります。

パッチテストは受診した時にすぐできますか?

試薬の準備に時間がかかりますので、当日すぐに、といった対応は難しいです。注意事項の確認もありますので、まずは受診して頂き、その際に検査の予約をお取り頂く形となります。

記載されているもの以外の成分や金属の検査はできますか?

ご本人が、当院へお持ちいただければ可能です。当院では試薬や金属などの取り寄せは行っていません。また、お持ちいただいた物がそもそも刺激性の物質(ウルシや一部の有機溶剤など)である場合、汚染されており感染症が考慮される場合などは、パッチテストを行わない可能性があります。