脂漏性角化症

脂漏性角化症(老人性イボ)とは

茶色~黒色で、境界がくっきりとした皮膚のできものです。大きさや形は様々で、数mm~数cm大で、平らなものから大きく盛り上がったものまで形はさまざまです。良性のできものですが、ゆっくりと大きくなっていく特徴があります。

紫外線の影響と加齢による皮膚の老化が関連していると考えられており、シミの上にできることが多いです。健康な皮膚は肌のターンオーバーでメラニンを体外へ排出しますが、加齢や紫外線の影響などで衰えた皮膚では、このサイクルが乱れ、メラニンの排出が追い付かず、徐々にメラニンが蓄積されます。メラニンが蓄積することで発症するのが「老人性色素斑(シミ)」ですが、更に蓄積されると皮膚が盛り上がり、脂漏性角化症(老人性イボ)となります。日焼けしやすい顔や手の甲などに多くみられますが、全身どこでも作られる可能性があります。

脂漏性角化症は良性腫瘍であり、基本的に癌化することもありません。放置しても問題はありませんが、衣類等に擦れる部位で刺激になってしまう場合、顔の目立つ部位にできた場合などで、除去をおすすめすることがあります。

「イボに効果がある」とされる市販薬(塗り薬・飲み薬)は、脂漏性角化症の除去には効果がありません。脂漏性角化症の除去を希望される場合は、誤った薬を使用する前に、必ず医師の診断を受けるようにしましょう。

脂漏性角化症の治療

  • 液体窒素での凍結療法

患部に液体窒素をあて、わざと低温熱傷を起こしてかさぶたを作ります。かさぶたが取れると、一緒に脂漏性角化症も取れて行きます。保険診療の場合は第一選択の治療で、週に1度のペースで複数回治療を繰り返す必要があります。炎症による色素沈着のリスクがあります。また底にある老人性色素斑(シミ)までは取ることができません。

  • 電気焼灼治療(電気外科的治療)

ホクロ治療にも使われる、電気メスを使用した切除術です。傷あとを残さないよう、ドクターの繊細な技術によって患部の表皮をごく浅く削り取ります。通常であれば2週間ほどで傷あとは治ってきます。

  • 外科的手術による切除術

脂漏性角化症のサイズが大きくて液体窒素やレーザーでは対処が難しい場合や病理検査を行なう際は、メスで患部を浅く切除します。