皮膚癌

皮膚癌とは

「皮膚癌」という名称は、特定の病気の名前ではなく、皮膚にできるさまざまな癌の総称です。その種類にもよりますが、皮膚癌には痛みやかゆみなどの症状はほとんどなく、皮膚の変化だけであることが多いです。癌細胞がどこから発生したかによって、癌の名前が決まります。すべてを記載することはページの分量の兼ね合いで難しいので、代表的なもののみ記載します。

・基底細胞癌

皮膚の基底層の基底細胞、もしくは毛の細胞が悪性化することで発生し、紫外線への曝露が関係しています。皮膚癌のなかでもっとも頻度が高いです。

・有棘細胞癌

皮膚の表皮角化細胞が悪性化することで発生し、露光部に生じたものは日光によって発生する例が多いとされます。高齢者の顔や手足などに発生することが多く、昔のやけど痕や傷の痕に発生することがあります。

・ボーエン病

有棘細胞癌の早期病変で、癌細胞の増殖は表皮内に留まります。転移の可能性はほとんどありません。

・日光角化症

有棘細胞癌の前癌病変で、日光(紫外線)を浴び続けたことで発症します。60歳以上の高齢者に多くみられます。

・悪性黒色腫(メラノーマ)

メラニン色素形成にかかわるメラノサイト(色素細胞)が悪性化することで発生します。ほくろと区別がつきにくく、病気の進行が早く、悪性度は高いです。

・パジェット病

汗を産生するアポクリン腺に由来する細胞ががん化したものと考えられています。

乳頭や乳輪に発生する乳房パジェット病と、外陰部等に発生する乳房外パジェット病に分類されます。

上記の悪性腫瘍を含め、皮膚が黒や褐色に変化するものには、良性のものを含め様々なものがあります。その区別をつけるには、専門的な知識を持った皮膚科医の診断が重要です。

診察には、まずはダーモスコピーという機械を使用し、細部を詳しく観察します。8割以上はそれで診断が付きますが、より正確な診断には、皮膚の組織を取って検査する「皮膚生検」を行う必要があります。自己判断での経過観察は、治療開始が遅れてしまう原因となります。

特に以下のようなできものがある方はご相談下さい。

・ここ数ヵ月で急にほくろが大きくなった(6mm以上)、盛り上がってきた、出血した

・左右非対称で縁がギザギザのほくろができた

・爪に黒い線が入った

・湿疹だと思って塗り薬を使っていたが、2週間以上治らない

・昔、やけどや怪我をした部分に湿疹のようなものができて治らない

・陰部や肛門周辺などに、赤い斑点や皮膚の一部が白くなったような湿疹ができた

・頭をぶつけたあとのあざが治らない

また、受診される方から、「こんなことで来て笑われるんじゃないかと思った」というお話をよく伺います。それを診断するために我々皮膚科医は日々研鑽しておりますので、少しでもご不安なものがあれば遠慮なくご受診下さい。当院で対応が困難な場合には、高次医療機関のご紹介も行っております。