尋常性疣贅(ウイルス性いぼ)

尋常性疣贅(ウイルス性いぼ)

小さくて盛り上がっているできものを「いぼ」と呼びます。一言で「いぼ」と言ってもその種類はさまざまで、治療も異なります。治療には医師の診断が重要であり、イボの種類に応じた検査と治療選択が必要となります。
いぼにはいくつかの種類があり、ヒトパピローマウイルスというウイルスの感染によって生じるもの(尋常性疣贅)、紫外線の影響と加齢により生じるもの(脂漏性角化症)、皮膚のたるみと摩擦によって生じるもの(軟性線維腫)等があります。

皮膚科では、「いぼ」という単語は尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)という、ウイルス感染によって生じるものを指します。
ヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるウイルスの感染によって生じるできもので、皮膚にできた目に見えないような微細な傷から入り込み、数ヶ月かけてイボを形成します。そのため手足にできやすく、また子どもによく見られます。痛みやかゆみはほぼ有りませんが、数mm~1cm程度の小さな皮膚の盛り上がりができ、ウイルスの感染症のため、ゆっくり大きくなったり、別の場所に新しくできたりします。
一般的には子どもの足には「タコ」や「うおのめ」は生じないのですが、初期症状がよく似ているので、それと思い受診が遅れてしまう方もおられます。
イボのウイルスは人から感染するため、ジムやプール、銭湯など公共施設で間接的にうつることもあります。また、ご家族の間で移し合ってしまうケースもあるため、早めに治療をおこなうようにしましょう。

尋常性疣贅(ウイルス性いぼ)の治療

・冷凍凝固療法
治療の基本は、-196度の液体窒素を使用した冷凍凝固療法です。
症状や大きさにもよりますが、1~2週間ごとに治療を行い、繰り返すことでウイルスが感染した細胞を壊し、徐々にイボを取り除きます。液体窒素を当てた部分は、かさぶたとなって剥がれ、少しずつ取れていきます。
・ヨクイニン(漢方)の内服
ウイルスの感染ですので、それに対する免疫がつくとぽろぽろと取れることがあります。
この免疫成立を助けるのがヨクイニンです。まれにおなかがゆるくなるなどといった症状が出ることがありますが、お子さまから大人まで、幅広い年齢の方におすすめできる薬です。
あくまでも補助的に使用するものであり、治療のメインは液体窒素での冷凍凝固療法です。

治療間隔と治療期間

保険診療では、週に1度、同月内に4回まで、冷凍凝固療法を行うことが認められています。間隔が短い場合や回数が多い場合は保険が通らないため、その際はこちらからご案内する場合があります。
いぼの治療には時間がかかり、年齢や部位によって異なりますが、数ヶ月単位で通院が必要なことがほとんどです。根気のいる治療ですので、しっかりと通い治していきましょう。