シミの種類と治療法

公開日:2026年7月24日/最終更新日:2026年7月24日 | 執筆・監修:スキンクリニック相模大野 院長 山岸 大樹(日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医)

結論から言うと、シミの治療で最も大切なのは「自分のシミがどの種類か」を正しく見分けることです。

シミには複数の種類があり、種類によって有効な治療法が異なります。特に肝斑(かんぱん)は、一般的なシミ治療のレーザーを当てると悪化することがあるため、見極めが欠かせません。この記事ではシミの種類ごとの特徴と見分け方、それぞれに適した治療法、費用と副作用を解説します。

シミの種類は大きく5つに分けられる

「シミ」は一般的な呼び名で、医学的には複数の異なる病態を含みます。まずは全体像を整理します。

種類見た目の特徴できやすい部位・年代
老人性色素斑
(ろうじんせいしきそはん)
境界がはっきりした褐色の平らな斑。数mm〜数cm頬骨、こめかみ、手の甲。40代以降に増える
肝斑
(かんぱん)
左右対称に、もやっと広がる薄茶色。境界が曖昧頬骨、額、口まわり。30〜50代女性に多い
そばかす
(雀卵斑:じゃくらんはん)
数mmの小さな斑点が多数、散らばって出る鼻を中心とした顔全体。幼少期から
ADM
(後天性真皮メラノサイトーシス)
灰色〜青みがかった色。皮膚の深い層(真皮)にある頬骨、鼻翼、額の端。20代以降に出現
脂漏性角化症
(しろうせいかくかしょう)
盛り上がりのある褐色〜黒色のできもの。ざらつく顔、体幹。加齢とともに増える

実際には、これらが同じ顔の中に混在していることが少なくありません。「頬のシミを取りたい」というご相談で診察すると、老人性色素斑と肝斑とADMが重なっていた、というケースもあります。

老人性色素斑・肝斑・そばかす・ADM・脂漏性角化症の5種類のシミの見た目と好発部位を比較した図解
図1:シミ5種類の見分け方。同じ顔の中に複数の種類が混在していることが少なくありません

シミの主な原因

紫外線によるメラニンの蓄積

紫外線を浴びると、表皮のメラノサイト(色素細胞)がメラニンを作り、肌を守ろうとします。通常はターンオーバーとともに排出されますが、長年の紫外線の蓄積や加齢によりターンオーバーが乱れると、メラニンが残って老人性色素斑になります。

女性ホルモンの影響

肝斑は、妊娠、出産、経口避妊薬の使用、更年期など、女性ホルモンの変動と関連して現れやすいことが知られています。ホルモン以外に、摩擦などの物理的刺激も悪化の要因になります。

炎症のあと(炎症後色素沈着)

ニキビ、虫刺され、かぶれ、やけどなどの炎症が治った後に、茶色い色素が残ることがあります。これは厳密には「シミ」とは別ですが、見た目が似ているため混同されやすいものです。

遺伝的要因

そばかすには遺伝的な要素が強く関与します。幼少期から現れ、思春期に濃くなり、その後薄くなることもあります。

肝斑を見分けることが最も重要な理由

肝斑に一般的なシミ取りレーザーを照射すると、かえって濃くなることがあります。

老人性色素斑に有効なQスイッチレーザーのスポット照射は、強いエネルギーで色素を破壊します。しかし肝斑の肌はこの刺激に反応しやすく、炎症をきっかけにメラニンの産生がさらに促されて悪化することがあります。

そのため肝斑には、低出力のレーザーを顔全体に繰り返し照射するトーニングという方法や、トラネキサム酸などの内服薬を組み合わせるアプローチが選択されます。

肝斑と老人性色素斑は、見た目だけでは判別が難しい場合があります。当院ではダーモスコピー(皮膚を拡大して観察する機器)や画像診断機による撮影を用いて、シミの種類と深さを確認したうえで治療方針を決めています。

放置するとどうなる?

シミの多くは良性であり、放置しても命に関わるものではありません。ただし、いくつか注意すべき点があります。

ひとつは、老人性色素斑が年月とともに濃く、大きくなる傾向があることです。また一部は脂漏性角化症へと変化し、盛り上がってくることがあります。盛り上がった段階では、色素だけに作用するレーザーでは対応できず、電気メスなどによる切除が必要になります。治療の選択肢という点では、平らなうちのほうが幅が広いと言えます。

「シミだと思っていたら皮膚がんだった」というケースもあります

悪性黒色腫(メラノーマ)や基底細胞癌、日光角化症といった皮膚の悪性・前癌病変は、初期にはシミやほくろとよく似た見た目をしています。次のような変化がある場合は、美容目的の施術を受ける前に必ず診察をお受けください。

  • 形が左右非対称、輪郭がギザギザしている
  • 色にムラがある(濃い部分と薄い部分が混在)
  • 短期間で大きくなった、6mmを超えている
  • 出血する、じくじくする、かさぶたを繰り返す

自己判断でレーザーを照射してしまうと、悪性病変を見逃したまま表面の色だけを消してしまい、診断が遅れるおそれがあります。当院では、シミの治療を行う前に必ず皮膚科専門医が良悪性を確認しています。

市販の美白化粧品で様子を見てよい場合/受診すべき場合

市販品でのケアが向いている場合

  • ごく薄い色ムラやくすみが気になる程度
  • できたばかりの炎症後色素沈着(数ヶ月で自然に薄くなることがあります)
  • まずは紫外線対策と保湿から始めたい

皮膚科の受診をおすすめする場合

  • 美白化粧品を3ヶ月続けても変化が感じられない
  • 境界のはっきりした濃いシミがある
  • 左右対称にもやっと広がる薄茶色がある(肝斑の可能性)
  • シミが盛り上がってきた、ざらつきがある
  • 形や色に上記の「注意すべき変化」がある

市販の美白成分は、これからできるメラニンの生成を抑えることを主な目的としています。すでに定着した濃いシミを薄くする力は限られるため、3ヶ月を目安に区切りをつけて、医療機関での治療を検討されることをおすすめします。

皮膚科での検査と初診の流れ

当院での初診の流れ

①問診:シミが出てきた時期、これまでのケア、妊娠・出産や内服薬の有無(肝斑の判断材料になります)、日焼けの習慣を伺います。

②視診・ダーモスコピー:シミの種類と、良性か悪性かを確認します。ここが治療方針を決める最も重要な工程です。

③画像診断:初診時に画像診断機NeoVoirで撮影し、表面からは見えにくい深部のメラニンや、赤みの分布まで含めて評価します。治療前後の比較にも用います。

④説明:シミの種類、適した治療法、費用、副作用、必要な回数の目安をご説明します。その場でご契約いただく必要はありません。

シミの種類別の治療法と費用の目安

当院ではイタリアQuanta社製のピコレーザー「Discovery PICO PLUS」を導入しており、1台でピコレーザーと従来のQスイッチルビーレーザーの両方を使い分けられます。加えてIPL(Nordlys)、内服・外用薬を組み合わせて治療を組み立てます。

シミの種類主な治療法区分回数の目安
老人性色素斑ピコスポット/Qスイッチルビースポット自費3〜4ヶ月ごとに1〜3回
肝斑ピコトーニング+内服薬自費2週〜1ヶ月ごとに5回以上
そばかすピコスポット/IPL自費IPLは2〜4週ごとに6回程度
ADMQスイッチルビー/ルビーフラクショナル自費1ヶ月ごとに3〜5回
脂漏性角化症電気メスなどによる切除保険適用となる場合あり1回
薄いシミ・赤み・くすみが混在IPL(Nordlys)自費2〜4週ごとに6回程度

費用の目安

施術料金(税込)
IPL(Nordlys)全顔33,000円/回
老人性血管腫(1〜5個)10,000円/回
ほくろ・シミのレーザー除去(5mmまで)5,500円/照射1回
ピコスポット/ピコトーニング/ピコフラクショナル 他料金表ページをご確認ください
初診料(画像診断機NeoVoir撮影込)4,400円
再診料1,100円

脂漏性角化症など、盛り上がりのあるできものについては保険診療の対象となる場合があります。診察のうえご案内します。

自由診療の副作用・リスクについて

レーザー・光治療には次のような副作用が生じることがあります。

  • 照射直後の赤み、ヒリつき、腫れ
  • スポット照射後のかさぶた(1〜2週間程度、テープ保護が必要)
  • 炎症後色素沈着(一時的にシミが濃く見えることがあります)
  • 水疱、色素脱失(白く抜ける)、瘢痕(まれ)
  • トーニングの過剰照射による脱色素斑

また、妊娠中の方、光線過敏症・てんかんの既往がある方、金製剤の内服歴がある方、日焼け直後の方、ケロイド体質の方は施術を受けられない場合があります。

なお、Discovery PICO PLUSは未承認医療機器であり、当院医師の判断のもと個人輸入しています。同一の成分や性能を有する他の国内承認医療機器等はありません。諸外国における安全性等に係る情報として、重大な副作用などが明らかになっていない可能性があります。

効果には個人差があります。

治療の詳細はDiscovery PICO PLUSのページおよびIPL(Nordlys)のページをご覧ください。

自宅でできるセルフケア

  • 日焼け止めを毎日使う:治療の有無にかかわらず、シミ対策の土台です。SPF30以上を目安に、曇りの日や室内でも使用します
  • こすらない:洗顔やタオル拭き、マッサージなどの摩擦は、特に肝斑を悪化させる要因になります
  • 保湿でバリア機能を保つ:乾燥した肌は刺激に弱く、色素沈着を起こしやすくなります
  • 帽子・日傘・サングラス:紫外線の総量を減らす物理的な対策が有効です
  • 治療後は特に厳重な紫外線対策を:レーザー後の肌は色素沈着を起こしやすい状態です

病院を受診する目安

次のような場合はご相談をおすすめします

  • 美白化粧品を3ヶ月使っても変化が感じられない
  • 自分のシミがどの種類か分からない
  • 複数の種類が混在していそうで、どこから手をつければよいか迷っている
  • シミが盛り上がってきた、ざらつくようになった
  • 形が非対称、色にムラがある、大きくなってきた(悪性の除外が必要です)
  • 過去に他院でレーザーを受けたが、かえって濃くなった

保険診療か自由診療か迷ったら、公式LINEでご相談いただけます

「自分の症状が保険で診てもらえるのか分からない」「どの予約枠を取ればよいか迷う」といったご質問は、公式LINEからお気軽にお送りください。ご予約前の確認だけでも承っています。LINEからそのままご予約いただくことも可能です。

公式LINEはこちら

当院でのシミ治療について

当院では、シミのご相談は月間約300件で、そのうち約9割の方に複数種類のシミが混在しています。

当院がシミの診療で重視しているのは、施術の前に診断を確定させることです。院長・副院長ともに大学病院で皮膚悪性腫瘍の診療経験があり、ダーモスコピーによる良悪性の判断を行ったうえで治療に進みます。美容目的のご相談であっても、この工程は省きません。

また、肝斑に対するピコトーニングについては、過剰な照射による脱色素斑を避けるため、画像診断機で状態を確認しながら進める方針をとっています。この理由から、当院ではピコトーニングに回数割引を設定していません。回数をあらかじめ購入いただく形にすると、必要以上の照射につながりかねないためです。

相模大野エリアでは、紫外線量が増える春先や、夏の日焼け後の秋口にご相談が増える傾向があります。

診察室でよくいただくご質問

「1回でシミは消えますか」というご質問を最もよくいただきます。境界のはっきりした濃い老人性色素斑であれば、1〜3回のスポット照射で目立たなくなる方が多い一方、肝斑やADMは複数回の治療を重ねて少しずつ改善を目指すタイプです。同じ「シミ」でも必要な回数が大きく異なるため、まず種類を確定させることが遠回りに見えて近道になります。

よくあるご質問

Q1. シミ治療に保険は使えますか

美容目的のシミ治療は自由診療です。ただし、盛り上がりのある脂漏性角化症や、悪性が疑われるできものの切除・病理検査については保険適用となる場合があります。診察の結果、保険で対応できるものは保険診療でご案内します。

Q2. レーザーを当てた後、シミが濃くなったように見えます。失敗でしょうか

スポット照射の後は、照射部位が一時的に濃く見えたり、かさぶたになったりします。これは治療の経過として想定されるもので、通常1〜2週間でかさぶたが自然に剥がれます。その後しばらく赤みが残り、数ヶ月かけて周囲の肌になじんでいきます。ただし炎症後色素沈着が強く出た場合は、外用薬などで対応することがありますのでご相談ください。

Q3. 肝斑があるとレーザー治療はまったく受けられませんか

受けられないわけではありません。肝斑には低出力のピコトーニングが適しており、内服薬との併用で改善を目指します。また、肝斑と老人性色素斑が混在している場合は、まず肝斑を落ち着かせてから濃いシミにスポット照射を行うなど、順序を工夫します。効果には個人差があります。

Q4. 治療後にすぐメイクはできますか

施術内容によって異なります。IPLやトーニングは施術直後からメイクが可能です。一方、スポット照射の後はテープでの保護が必要になるため、テープが外れるまで(おおむね1〜2週間)は該当部位のメイクをお控えいただきます。ご予定に合わせて施術時期をご相談ください。

まとめ

  • シミは主に5種類(老人性色素斑・肝斑・そばかす・ADM・脂漏性角化症)に分けられ、種類ごとに有効な治療が異なる
  • 肝斑に一般的なスポット照射を行うと悪化することがあるため、種類の見極めが最優先
  • 市販の美白化粧品は3ヶ月を目安に区切り、変化がなければ医療機関での治療を検討する
  • シミに似た見た目の皮膚がんもあるため、施術前にダーモスコピーでの確認が欠かせない
  • 美容目的の治療は自由診療。副作用として赤み・かさぶた・色素沈着などが生じることがあり、効果には個人差がある
  • 脂漏性角化症など一部は保険適用となる場合がある

シミの種類が分からない、どの治療が合うか迷っているという方は、一度ご相談ください。
皮膚科専門医が診断のうえ、保険診療・自費診療を含めて最適な方法をご提案します。

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監修:山岸 大樹(やまぎし ひろき)

スキンクリニック相模大野 院長

香川大学医学部卒。東京慈恵会医科大学附属病院皮膚科に長年勤務し、地域クリニックでも診療経験を積む。2024年8月、相模大野にて開院。一般皮膚科から美容皮膚科まで幅広く診療にあたる。

日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医

参考文献・引用元

  • 日本皮膚科学会「皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン」
  • 日本皮膚科学会「日光角化症」疾患情報
  • 厚生労働省「医療広告ガイドライン」

※本記事は情報提供を目的としたものであり、診断・治療を確約するものではありません。治療の効果には個人差があります。自由診療の料金はすべて税込表示で、2026年7月時点のものです。料金は予告なく変更となる場合があります。医療広告ガイドラインに基づき作成しています。